働く人のうつと不安
業務ストレス、対人関係の摩擦、過重労働による疲労から、うつや不安が生じることがあります。残業を100時間も続ければうつになるのが大多数ですし、ギスギスした職場では楽しめないのが普通です。
初めてチャレンジすることは不安で、時には不安をコントロールできなくなることもあるでしょう。
直近、大事故に発展したケースでは、1件では過重労働に加え上司との不適切な関係が指摘され、もう1件では遺書があり、いじめがあったとして提訴されています。
一方、会社、上司共にクリーンであり、働くことを楽しめる職場環境が多数で、通常、就労は適度なストレスとなり、働いている方がうつ病になりにくいことがわかっています。
当院は初診時に、患者様がうつや不安に至った経緯をよく聞き、それぞれに応じ、復職に向けたサポートをしっかりと行います。
全て忘れてしっかり休まねばならない時期・体を動かし始める時期・頭を動かし始める時期・出勤練習・リハビリ勤務・復職と段階的に助言・指導を無理なく行います。
うつと不安の原因は?
うつ病を引き起こす原因はひとつではなく、多くのことが重なり、合わせて一本の形で発症します。
環境要因、性格傾向、遺伝的要因、慢性的な体の病気、ホルモンの変化などが、原因の1つとして考えられます。
この中で、環境要因とホルモン変化については調べれば解決するものがあります。
ここでは働く人の環境要因・ストレス因を切り分けます。
・仕事の量が多い、残業が多い、密度が高すぎる
・仕事の質が苦しい(役割や業務内容、部署の異動など)
・仕事の体への負担が大きい
・職場の対人ストレスが大きい
・仕事のコントロールできる幅が狭すぎる
・自分のスキルを活かせていない
・業務そのものが向いていない
・働きがいがない
・上司や同僚のサポートがない
・家族や友人のサポートがない
・仕事や生活全般に不満がある
この中で手を付けられそうなものがあれば、解決を試みるとよいでしょう。
例 パワハラを受けた
例 慣れ親しんだ会計から営業に異動、見知らぬ人ばかり
例 仕事ができるあまり、重役に付きっきりとなり仕事が断れない
こういった事情で、今までうまく行っていたのに適応できなくなった際は、環境が原因なのかも知れず、
診察で病状や対策の評価を受けると良いでしょう。
適応障害
かつて、体を検査しても原因がはっきりしない症状は、天気や季節やストレスの性にされ、自律神経失調症というふんわりした症候群とされていました。
明治から昭和にかけてはノイローゼという病名が流行しました。当時は、病名があるだけでも、救いとなったことでしょう。
今は、環境変化がストレス因となり、気分や行動に変化が現れ、かつ、他の診断基準を満たさないものが適応障害と診断されます。
うつ病、不安症、躁うつ病、発達障害とまではいかないが、明らかに以前と本人の様子が異なるような時です。
変化したものから強いストレスを感じれば、誰でも適応障害となる恐れがあります。
つらい状況から、一歩引いて眺めてみたり、自分自身がゆっくり変わっていく事も治療の1つです。
具体的には憂うつな気分や不安感、イライラが強くなり、涙もろくなったり、過剰に心配したり、怒りっぽくなったりします。
時には、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物に当たるなどの行動の症状として現れます。
ストレスとなる状況や出来事があるので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。
しかし、ストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が長く続きます。2004年には皇太子妃(当時)雅子さまが適応障害と発表された事がありました。